聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長 山内 英子先生にお話をうかがいました。
Q. 乳がん検診でマンモグラフィを受けた際、医師から高濃度乳房と言われました。乳がんの発症リスクに関連性はあるのでしょうか?
A. 高濃度乳房と乳がんの発症率の関連については、まだはっきりと解明されていません。高濃度乳房であることの一番の問題点は、マンモグラフィでしこりなどの病変が診断しづらいことです。
乳房は、乳腺組織、脂肪組織、皮膚、乳頭・乳輪、血管などによって構成されています。マンモグラフィでは、乳腺組織と脂肪組織の割合をもとに「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4つに分類します。
1. 高濃度:乳腺組織の割合が高いためX線が通りづらく、マンモグラフィでは乳房全体がほぼ白く映る
2. 不均一高濃度:乳腺組織の中に、脂肪組織が混在している状態。マンモグラフィでは黒い部分よりも白い部分が多く映る
3. 乳腺散在:脂肪組織の中に、乳腺組織が混在している状態。マンモグラフィでは白い部分よりも黒い部分が多く映る
4. 脂肪性:脂肪組織の割合が高いためX線が通りやすく、マンモグラフィでは乳房全体がほぼ黒く映る
マンモグラフィではしこりなどの乳がんの所見は、ほとんど白く映ります。そのため、白く映る乳腺組織が高濃度だと病変が発見しづらくなります。そのため、超音波(エコー)検査との併用が良いとされていますが、高濃度乳房は病気ではないため、追加で検査が受ける際には自費となります。
また、高濃度乳房は20~40代の閉経前の方に多く見られます。一般的に乳房は、年を重ね、エストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌が落ち着くにしたがって、不均一高濃度、散在性、脂肪性へと変化していきます。年齢問わずホルモン補充療法をされている方は、高濃度乳房になりやすくなります。
≪お答えいただいた専門家≫
山内 英子先生
聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長