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乳がんと検診

乳がんってどんな病気?

乳がんは、乳腺の組織にできるがんで、多くの場合、母乳を乳頭まで運ぶ乳管から発生します。小葉や乳腺以外の乳房組織から発生することもあります。

乳腺組織
参考:国立がん研究センター「がん情報サービス」乳がんについて
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/about.html

日本人女性の場合、30歳代から増え始め、40-60歳代が罹患のピークです。その他のがんと比べて比較的若い世代で多いのが特徴で、稀に男性でもかかることがあります。

年齢階級別罹患率
(2019年・女性)
出展:国立がん研究センター「がん情報サービス」

日本では毎年9万人以上が新たに乳がんに罹患しており、日本人女性が罹るがんの中でもトップです。さらに年々増加傾向にあり、現在の累積がん罹患リスクは10.6%とされています。つまり9人に1人が生涯で乳がんに罹患する計算になります。

2020年 がん罹患数
女性 男女計
1位 乳房91,531
大腸147,725
2位 大腸64,915
肺120,759
3位 肺39,679
胃109,679
4位 胃34,551
乳房92,153
5位 子宮28,492
前立腺87,756
累積がん罹患リスク(2020年データに基づく)
部位 生涯がん罹患
リスク(%)
何人に1人か
男性 女性 男性 女性
全がん 62.1% 48.9% 2人 2人
乳房(女性) 10.6% 9人

参考:国立がん研究センター「がん情報サービス」(全国がん登録)
最新がん統計 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

それでも乳がんは、早期に発見すれば90%以上の方が治る病気です。早期の段階では自覚症状が現れないことも多いですが、場合によってはしこりなど乳房の変化に自分で気がつくことができる可能性のある数少ないがんでもあります。乳がん発見のうち約7割は自分でみつけた、というデータもあります。
とはいえ、ささいな変化に急に気がつくことはできませんので、日頃から自分の身体を知ることで、早期発見・適切な治療につなげることが重要です。

部位別5年相対生存率

参考:国立がん研究センター「がん情報サービス」(全国がん登録)
(HOME>最新がん統計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

乳がんに気づくきっかけ

参考:国立がん研究センター「がん情報サービス」(全国がん登録)
(HOME>最新がん統計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

どんな人がかかりやすい?

誰にでもリスクはありますが、下記に当てはまる方は特に注意が必要です。

家系内に乳がん患者さんがいる女性は、血縁関係が近いほど、また、乳がん患者さんが家系内に多くいればいるほど、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)」であるリスクが高くなります。乳がんの多くは遺伝しないものですが、乳がんの10%程度はこのHBOCといわれています。

40歳以上

乳がんの発⽣には、⼥性ホルモンであるエストロゲンが深く関係しています。そのためエストロゲンが分泌されている期間が⻑い⼈ほどリスクが⾼まります。妊娠‧授乳期間にはエストロゲンの分泌が⽌まるためリスクが下がります。

閉経後はエストロゲンの分泌が⽌まりますが、別のホルモンが脂肪組織でエストロゲンに変わります。したがって、閉経後の肥満もリスクとなります。

喫煙により乳がん発症リスクが高くなることはほぼ確実です。また、受動喫煙も乳がん発症リスクを高くする可能性があります。禁煙および他人のたばこの煙(副流煙)をできるだけ避けることをお勧めします。

アルコール飲料の摂取により、乳がん発症リスクが高くなることはほぼ確実です。飲酒は控えめにしましょう。

乳腺疾患(乳腺症など)にかかったことがある

乳がんになったことがある


参考:日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」
https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g1/

予防はできるの?

乳がんの完全な予防方法は残念ながらありませんが、以下のことを心がけましょう。

肥満(特に閉経後)やアルコールの摂取は、乳がん発症リスクを確実に高めます。
喫煙もほぼ確実にリスクを高め、受動喫煙もリスクを高める可能性があります。

バランスのとれた食事、適度な運動といった基本的な生活習慣に加え、「ブレスト・アウェアネス」の実践が重要です。

参考:日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」
https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g1/

乳がん検診 Q&A

Q日本の検診受診率は低い?
欧⽶などでは検診受診率の向上と治療の進展も重なって、乳がんによる死亡率が年々減っています。
⼀⽅で、⽇本の乳がん検診受診率は先進国の中でも極めて低いレベルに位置し、年々死亡率は増加傾向にあります。

参考:厚生労働省令和4年度がん検診受診率50%に向けた集中キャンペーン
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/campaign_2022/outline/low.html

Qマンモグラフィ検査と超音波検査の違いは?
現在、乳がん死亡率の減少効果が国際的に証明されている唯一の検査方法がマンモグラフィです。乳房専用のX 線検査装置のことで、しこりの影や石灰化を写し出し、早期の乳がんも発見できる優れたものです。
超音波(エコー)検査は、胸に超音波をあてて内部からの反射波を画面に映し出すものです。
Q検診を受けるには?
40歳以上の女性は職場でのがん検診制度(健康診断のオプションなど)があれば活用し、なければお住まいの市区町村が実施するがん検診を受診しましょう。 各自治体のがん健診窓口
Qデンスブレスト(高濃度乳房)って?
乳房の状態を指す言葉で、病気ではありません。乳腺の割合が高くマンモグラフィでは乳房全体が白っぽくなり、白く写る乳がんを見つけにくい状態のことです。
超音波検査との併用が有効な場合もあるため、デンスブレストと言われたことがある方や、気になる方は医師に相談しましょう。 より詳しく知りたい方は
高濃度乳房についてのQ&A
Q要精密検査になったら?
がん検診の結果が「要精密検査」だったとしても、すべてががんと診断されるわけではありません。過度に心配せず、すぐに医療機関でより精度の高い検査を受けることが大切です。必ず「要精密検査」を受けましょう。 がん検診でがんが
見つかる人の割合
Q40歳未満は検診を受けなくていいの?
心配だからといって若いうちから自己判断でマンモグラフィ検査を受けるのはお勧めしません。乳腺専門医と最適な検査の受け方を相談しましょう。
特に、家族に乳がんや卵巣がんの罹患経験者がいるなど、遺伝性乳がんの心配がある方は、検診推奨年齢の40 歳を待たずに、早めに乳腺専門医に相談することをお勧めします。
Q検診のメリット・デメリットは?
マンモグラフィ検査には、乳がんによる死亡を減らすことの他、早期発見できれば体への負担や費用が少なく済む治療法を選ぶことができるなど、大きなメリットがあります。
一方で、極めて微量の放射線被ばくがあることや、がんではないのにがんかもしれないと診断してしまう「偽陽性」、逆に本当はがんなのにがんはないと診断してしまう「偽陰性」、寿命に影響しないがんを見つけてしまう「過剰診断」が起きる可能性があります。
総合的にみるとメリットがデメリットを大きく上回るため、40 歳以上の女性は2 年に1 度の検診を受けることが大切です。

乳がんと診断されたら

乳がん治療は飛躍的に向上し、仕事との両立も可能な時代となりました。もしあなたや身近な誰かが乳がんとなったとしても、仕事や自分のやりたいことをあきらめる必要はありません。
まずは、国立がん研究センター「がん情報サービス」や日本乳癌学会のHPなどで、科学的根拠に基づいた情報を得るようにしましょう。

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